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ブログ30,000hit記念SS!!

少し遅くなってしまいましたが、当ブログも30,000hitを達成しました!
いつも足を運んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます!
これからも管理人と仲良くしてやってくださると幸いです。

さて、久々にSSを書いてみました。
時系列的には、パックスさんのTARI TARI SS 来夏「紗羽が居なくても、寂しくなんてないよ」の後日談という形で書かせていただきました。
未読の方は、先にそちらを読まれるといいかもしれません。
というか、本当に素晴らしいSSなので是非!

では、本編はmore以下で。
また後書きでお会いしませう。



高校卒業まで一ヶ月を切った、ある日の朝。
寒さは依然として厳しいものの、校内のあちこちに新しく芽吹く草木も見え始め、徐々に春の訪れを感じられつつあった。
理事長のマンション建設計画に伴い、プレハブ校舎にクラスを移してから早数ヶ月。
暖かな陽射しと、潮騒の響きは遠くなってしまったが、窓の外に広がる空は相変わらず抜けるように青く、坂井和奏は自然とあの日に歌った曲を口ずさんでいた。
だが――

「ふぁっくしゅんっ」
「ん? 和奏、風邪でも引いたの?」

ポケットティッシュを取り出し、鼻をかむ和奏にウィーンが尋ねる。見れば、目も少し赤いし、どことなく辛そうだ。

「ううん。風邪じゃなくて、花粉症。私特に弱くて、毎年この時期になると大変で……。ウィーンは平気なの?」
「うん、僕は大丈夫。ヤンは少し弱かったけど。そういえば、大智も割と平気そうだよね」

ウィーンは少し離れた席でスポーツ雑誌に目を通している田中大智を振り返る。

「ああ、俺はバドミントンで鍛えてるからな」
「花粉症とバドミントンは関係ないと思うけど……」
「大智はそればっかりだよね」
「うるせー。推薦も決まったし、これからは今まで以上に本気でやらねーと。……あいつと同じ大学になるんだったら尚更」
「あいつって?」
「俺が大会で負けた相手。あの和田って奴、全国で準優勝だったらしくて。大学側から直にスカウトされたって話が記事に書かれてた」
「へえ。じゃあ田中はその選手にリベンジするつもりなんだ」
「まあな。もう負けたくねーし」

もう負けたくない。
そう口にしたのは大会の余韻も過ぎ去った体育館。
黄昏色に染まる中、沖田紗羽に声をかけられた時だ。

泣いてる?

そう問われた時の口調は今でも覚えている。
柔らくて、優しくて。
競技は違っても、同じプロという夢を目指す姿勢に共感できる部分があったのだろう。
そこにはいくつも壁が立ち塞がっていて、
なかなか自分の思い通りにはいかないものだ。

嫌になってしまう場合もある。
途中で投げ出してしまいたくなる時だってある。

けれど――

「そっか。じゃあ、紗羽に良い報告ができるように頑張らないとね。また負けたなんて言ったら締まらないもん」
「ぐっ……わ、わかってるよ!」
「頑張れ大智! 僕もヴィーンでの用事が済んだらまた応援に駆けつけるから!」
「いや、お前は来るな」
「へ?」

諦めないことの強さを教えてくれた少女がいた。
自分にはどうすることもできない事実があっても。
変えられない現実があったとしても。
それを受け入れ、前へ進もうと決意した仲間がいた。

大きくて、果てしない回り道。
それはまるで、大海原へと漕ぎ出す小さな航海者のよう。
でもその先には夢へとたどり着ける可能性が広がっているかもしれないのだ。

今はまだ無理かもしれない。
けれどいつか、その道の交点で再び出会えることを信じて――

「ふぁっくしゅん!!」
「――って、おい坂井!」
「ふぇ、なに?」チーン

思考を遮る特大くしゃみに、田中は思わずツッコミを入れる。
しかし当然の反応というか、和奏はポカンとした表情で見返してくるのみだ。

「え、いや……そ、そうだ宮本は? あいつ近頃元気なかったけど、うまく立ち直れたのか?」

ここで紗羽のことを考えていたとも言い出せず、田中は内心焦りつつ別の話題を持ち出した。

「来夏? うん、もうすっかり元通りになったと思うよ。海の向こうへ届くくらい大声で叫んじゃって。なんだか吹っ切れたみたいだった」
「それを聞いて安心したよ。来夏が落ち込んでいると、なんだか調子が狂っちゃうしね。でも、それなら……」

ウィーンは教卓近くにぽっかりとあいた空席に視線を送る。

「どうして今日学校に来てないんだろう……」

 *

「はっ……はっくしゅんっ!」
「ったく、ようやく騒がしくなったと思ったら今度は風邪かよ。もうすぐ卒業式だって言うのに」

ベッドで寝込んでいる姉に呆れつつ、誠は近くのスーパーで買ってきたドリンクと市販の風邪薬を勉強机の上に置いた。
コンドルクインズのポスターや、様々なオーディオ機器で彩られた部屋。
それは今時の女子高生には似合わないかもしれないが、音楽が、そして何より歌うことが大好きな来夏の心をそのまま表現しているかのようだった。

「むぅ~。騒がしくってどういう意味!」

耳聡く聞きつけた来夏は、上半身だけ起こして誠を睨む。
まだ少し頭がふらふらするが、一晩で熱はかなり下がったらしい。
今では弟の戯れ口に付き合える程度には快復していた。

「言葉通りの意味さ。……ねーちゃん、最近部屋で歌ってなかっただろ?」
「あ、うん……。気付いて、たんだ」
「まあね。食事中も口数が少なかったし、ねーちゃんは普段通りに振る舞っているつもりだったかもしれないけど、俺もお母さんも心配してたんだからな。なんだか思い詰めたような顔してたっていうか」

いつも前向きなねーちゃんらしくないっていうか……。

誠の言葉が、チクリと胸に疼く。

――宮本さんは、ホント明るくて前向きだよね~!
――そうそう、何事にも全力というか、行動力があるというか。

明るい。元気がいい。いつも楽しそう。
小さい頃から親戚や学校の友達に言われ続けてきた言葉。
高校三年になった今でも変わらない、来夏の個性。
でも。けれでも。

「……それは違うよ。私だって、いつも前向きでいられるわけじゃない。たまに立ち止まってみたくなることだってあるし、悲しい時つらい時、挫けそうになった時、それを笑顔の裏側に隠せるほど強くはない。
誠だって覚えているでしょ? 合同発表会で私と紗羽の二人だけがステージに立って歌った時。あれだって、紗羽が背中を押してくれなかったら――」

(あんた、これだけの人を巻き込んどいて何もしないで帰る気!? 悔いはないの!? もう次はないんだよ!)

一度は諦めようと思った。
教頭に才能がないと言われ、ステージで歌わせてもらえないと知り。
悔しくて。むかついて。そして、それらに数倍勝る、歌いたい気持ちが爆発して。

――このまま終わってたまるかっ!

その情熱だけで、寄せ集めの合唱部を作り、合同発表会へと臨んだ。
けれど、当日は予想もしなかったアクシデントの連続で。
普段、運命なんて信じない方だけど、あの時だけは本当に天を呪った。

(どうして歌わせてくれないの!? ようやくここまで来られたのに! 合唱部を作ったのに! 去年の恥を上書きするために、この一年必死で練習してきた、のに……!)

それを言葉にしてしまうと、涙が溢れてしまいそうで。
心の奥にためこんだ色んな思いを発散できないまま、ただステージの床を見つめ唇を噛みしめていた。

……もう帰る。

そう呟いたのは、胸に渦巻く叫びから一刻も早く逃げたかったからかもしれない。
けれど紗羽は――誰よりも勝気で男勝りな親友はそれを許さなかった。

「紗羽がいなかったら……ううん、紗羽だけじゃない。和奏も、田中も、ウィーンも、みんな私を支えてくれた。私の我が侭に笑いながら付き合ってくれた。それがとても心地よくて、もうすっかり“これが私の日常なんだ”って思っていたの。
みんなで笑ったり泣いたり、そして時々歌ったり。
こんな素敵な生活がいつまでも続けばいい。そう心のどこかでずっと願い続けていた」
「でも、それは……」
「うん、わかってる。私たちはもうすぐ卒業する。それぞれ自分で決めた道を歩き始める。離ればなれになってしまうのは、もうどうすることもできない。
そんなことはだいぶ前から分かりきっていたし、覚悟もしていた」

来夏は少し憂いを帯びた表情で、窓の外を見遣る。

「でも本当は、覚悟をしていた“つもり”だったのかもしれない。卒業が近づくにつれて、それを認めたくない気持ちがだんだん大きくなって。叶わないと分かっていながらも、“もし高一の時に出会っていれば――。もっと早く合唱部を作っていれば――”なんて仮定の話を、自分の中で繰り返す毎日だった」
「ねーちゃん……」
「変でしょ? 後悔をしたくない一心で今まで走ってきたのに、いざ振り返ってみると、やっぱりモヤモヤしちゃう部分って出てきちゃうの。あ、別に楽しくなかったわけじゃないよ。むしろ楽しかったからこそ、本当に良い仲間に出会えたからこそ、って言うのかな。……うーん、なんて説明すればいいのかわからないけど。でも、これだけは言える。
紗羽がいなくなって、私すごく寂しかったんだ……。
なんだか日常の中に、ぽっかり穴が空いちゃったみたいで」
「だから、あの大雨の日も……?」



それは全国的に春の嵐と予報されていた数日前のこと。

「ただいまー。……ん?」

傘も役に立たないくらい土砂降りの中帰宅した誠は、いつもなら先に帰っているはずの来夏の靴が見当たらないことに首を傾げた。
本格的な受験シーズンを迎え、合唱部に顔を出す機会が少なくなった来夏に対し、生徒会副書記を務める誠は、来年度以降の予算会議、備品の整理等で、連日遅くまで学校に残ることが多かった。
この日も卒業式の打ち合わせが長引き、学校を出たのは日もすっかり落ちてからだった。

「ったく。ねーちゃん、どこほっつき歩いてんだ」

とは言え、来夏の帰宅が遅くなったのは一度や二度ではない。
どうせまた友達の家に寄っているのだろうと、それ以上思考に時間を割くことなく姉の部屋を通り過ぎようとした、のだが。
なんとなく妙な胸騒ぎがしたからだろうか。
誠はドアノブに手を掛けると、思い切って部屋の中へ足を踏み入れてみた。

電気の付いていない真っ暗な室内。
叩き付けるような雨音と、風のうねり。
お気に入りのぬいぐるみは床の隅に放られ、机の上には手つかずの宿題が広げっぱなしになっていた。

よく知っているはずなのに、まるで見知らぬ空間に迷い込んだかのような感覚。
歌声の消えた部屋は、先の不安をより一層増大させ――。

「ちょっと、誠どこへ行くの?」
「俺、ねーちゃんを探してくる!」

母親の制止を振り切り、誠は再び雨の中へと飛び出した。
走る。走る。走る。立ち止まらず、ただひたすらに。
シャッターの閉まった商店街。大時化の湘南海岸。人通りの途絶えた時計台。
江ノ電はかろうじて運行いたが、このまま風速が規制値を超えると運転を見合わせる可能性があるという。

「参ったな……。他に場所の当てなんて思いつかないし……」

ひとまず鎌倉駅に引き返したものの、すでに思いつく限りの候補地は探し回り、途方に暮れていた時だった。

「あれ、ひょっとして誠君じゃない?」

張りの良い、親しみのこもった言葉が誠の背後から投げかけられた。
振り返ると、四十代くらいの女性が買い物袋を提げてこちらへ向かってくる所だった。

「あ、えっと、志保さん、でしたよね。姉がいつもお世話に――」
「そんなに固くしなくてもいいって。来夏ちゃんは可愛い妹みたいなものなんだから、誠君ももっとフレンドリーに接してくれていいのよ」
「はあ……」

沖田紗羽の母親、志保とはこれまで何度か話したことはあるが、なぜかいつも気後れしてしまう。それは多分、天真爛漫な姉と違って、芯の通った力強さが感じられるからだろう。

「でもどうしたの、こんな時間に。服だってびしょ濡れじゃない。なんだったら、うちでお風呂入っていく?」
「いえ、結構です。急ぎの用事もありますし。――と、そうだ、志保さん。姉が紗羽さんとよく出かけていた場所について、どこか心当たりはありませんか?」
「来夏ちゃんが紗羽と出かけていた場所? そりゃあ、いくつか思い浮かぶけど、でもどうして?」
「実は……」

 *

「そう……。来夏ちゃん、特に紗羽と仲良かったし、落ち込んでいても無理ないわね……。元気で明るい子だけど、ちょっと繊細な所もあるから」
「俺も姉について時々思うことはあります。なんとなく放っておけないと言うか」
「あら、誠君って見かけによらずシスコン?」
「ち、違います!」
「ふふ、そっか。でも姉思いの一面も魅力的だと思うわよ」
「茶化さないでください。それより――」
「二人がよく行ってた場所でしょ。考えられるとしたら、この近くの喫茶店か、あるいは東浜海水浴場かしら」
「東浜って、江ノ島の?」
「そ。あそこって景色もいいし、波音がすごく好きなんだって前に聞いたことあるわ。合唱部みんなで集まることもあったみたい」
「俺、そこへ行ってみます! ありがとうございました!」
「おう、頑張れ!」

駆け出そうとした誠の尻に、志保の張り手が飛ぶ。

「もう、それ止めてくださいよ……」
「沖田家直伝のおまじないなんだから文句言わない。ほら、さっさと行っておいで」

志保に見送られ、誠は再び江ノ電のホームへと走り出した。

 *

江ノ島駅へと到着したのは、それから三十分後。
視界はますます悪くなり、時折横を通り過ぎる車のライトも、すぐに暗闇へと飲まれていく。
強風に煽られながらも路地を抜け、誠は地下道を通って東浜へと出た。
空には雨を孕んだ雷雲が渦巻き、数分おきに激しい閃光と轟音が大気を揺るがした。

(この風だと、傘差している方が危ないな)

そう判断した誠は、ずぶ濡れを覚悟の上で傘を畳み、砂浜へと目を凝らす。
まるで生き物のようにのたうつ海。
遠くにぼんやりと霞む、シーキャンドルの灯火。
がたがたと激しく揺れる道路標識。
そして――

「ねーちゃん!」

江ノ島大橋の袂に佇む小さな影。
ここからはまだ距離があったが、白浜坂高校の制服と、明るい地毛を見間違えるはずがない。

「くそっ……」

向い風に逆らい、一歩一歩姉へと歩み寄る。
来夏は何をするでもなく、ただその瞳に海洋を映したまま立ち尽くしていた。
彼女の体温が吐く息を白く染めているが、そうでなかったら人形と大差ないほど生気に乏しい。

「ねーちゃん!」
「……へ? あ、誠……」
「へ? じゃねーよ! なにやってんだよ、こんな所で! 家には連絡入れないし、携帯も繋がらないし。どれだけ心配したかわかってんのか」
「誠……」
「大体、ねーちゃんは勝手すぎるんだよ。いつも一人で突っ走って、みんなを巻き込んで。そのくせ、弱音は極力他人の前では見せようとしないだろ。
辛い時とか落ち込んでいる時とか、確かに音楽は勇気づけてくれるかもしれない。少しは前向きな気持ちにさせてくれるかもしれない。
でも、それだけで完全に立ち直れるわけじゃないだろ。
辛い気持ちを音楽で紛らわしたって、結局は自分の中に蓄積する一方じゃないか。俺は、ねーちゃんがそんな一時凌ぎで、本当の気持ちを誤魔化し通せるとは思っていない。
だから、辛い時は辛いって言ってくれよ。
俺も、そしてお母さんも、できる限り相談に乗ってやるから」
「う、うん。ごめん……」
「ほら、いいから早く帰ろう。いつまでもここにいちゃ風邪引くだろ」

それ以上の弁明を遮り、誠は強引に来夏の手を取って引き返した。

握り返される手はかなり冷たかったけれど。
それは紛れもなく、姉の温もりだった。

 *

「あそこはね。紗羽が私たちに海外留学の決意を語ってくれた場所。
夢を夢のまま終わらせたくないから、諦めたくないから、紗羽は独りで外国へと渡っていった。
本当はね、引き留めたかった。別れたくなかった。
旅立つにしても、せめて一緒に卒業してからじゃ駄目なのかと、問い詰めたかった。
でも、それは私の個人的な我が侭だから。そんな身勝手な理由で紗羽の夢を邪魔するわけにはいかなかったから。
紗羽がいつもそうしてくれたように、私も笑顔で背中を押してあげようって決めていた」

けれど、と来夏は誠に向き直って言葉を続ける。

「当日は胸が詰まっちゃって、ちゃんとした言葉を伝えることができなかった。口を開いたら、自分の我が侭がどんどん溢れてきちゃいそうで……。
うん、誠の言う通り。必死に寂しい気持ちを押し隠して、それに耐えるだけで精一杯だったよ。
でも私、紗羽の気持ちを真剣に考えたことなかった。
紗羽だって、私たちと別れたくなかったと思う。ううん、独りになっちゃう分、私や他のみんなよりもずっと寂しかったに決まってる。
なのに私、みんなが普段通りに生活しているのを見て、自分も寂しくなんかないんだと勝手に強がって……昨日、ついに紗羽に怒られちゃったよ」
「怒られたって、電話で?」
「ううん。これ」

来夏は右手を大きく振りかぶり、目の前の空間を勢いよく払った。

「ああ、なるほど」

つい先日、同じことをされた誠は堪えきれず吹き出す。

「みんなにも迷惑かけちゃったし、風邪治して学校行ったらちゃんと謝らなきゃ。合唱部部長、宮本来夏、ここにふっか~つ!ってね」
「それ、謝ってねーよ」

でも、ねーちゃんらしいな。
誠は騒がしくなった姉に苦笑しつつ、そっと柔らかい笑みを浮かべた。

「あ、そうだ、誠。もし私が大学に進学していなくなったら寂しい?」
「まさか。鬱陶しい姉がいなくなって、ようやく伸び伸びできるよ。長風呂を邪魔されることもないしね」
「でもお母さんがいる限り、エロ本の存在はバレると思っといた方がいいよ」
「ぐっ……。も、もう無いって言ってるだろ!」
「はいはい。じゃ、私もう少し寝るから。薬買ってきてくれてありがと」
「ああ。と、そうだ。これも渡しとく。ねーちゃんの好みがわからなかったから、前のと同じやつだけど」
「これ……」

ライムイエローのヘッドホン。
何年も大切に使い続けてきた、来夏の宝物。

「言っとくけど、金は後で請求するからな」
「うん、ありがとう」

照れ隠し気味に部屋を出て行った誠に礼を言い、来夏は箱からヘッドホンを取り出した。
手にすっかり馴染んだ感触や重さを改めて確かめつつ、端子の先をiPodに接続し、耳にかける。
選んだ曲はもちろん。

みんなで歌った <radiant melody>


おしまい♪



<後書き、という名の懺悔>
え~、まずパックスさん。なんやかんや言った割に、こんな拙いSSでごめんなさい!><
一応ちょっと前まで小説書いていたんですが、ブランクが空くと感覚を取り戻すまでに時間かかってしまって(汗
あと、自分の中のTARI TARIはキャラコメのようなはっちゃけた感じに近いので、ちょっとしんみりした話だとキャラを動かしにくかったっていうのもあります。
でも、TARI TARIが好きで、それを自分の中で一つ作品に出来たというのは純粋に嬉しかったり。

さて、では解説?みたいなものをちょこっと。

アニメでの来夏はもっと弾けるようなキャラですが、ここではしおらしく?書いてみました。
パックスさんのSSに影響されたのもありますが、キャラコメで「風邪の時は、なんとなく寂しい気持ちになる」的なことを言っていたので。
あと、大雨の日の描写や、来夏の部屋の様子は、第5話を参考にしました。
キャラクターの心情と背景がリンクするように書きたかったんですが、うーん、いまいち活かせられてるかどうか微妙←
ってか、そんなこと考える前に楽しんで書けって話ですよね。

次は、もっと明るい、5人らしい話が書けたらいいなと思いつつ。
では!

by broken-range | 2012-12-11 23:58 | TARI TARI