人気ブログランキング | 話題のタグを見る

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)

一週間ほど空きましたが、ストーリー解説の続きです。
キャプチャの枚数とストーリーの区切りを考慮して、(#07, #08)、(#09, #10)、(#11~#13)というふうに分けたいと思います(ほんとは前回も#05, #06は別にした方がよかったんだけどね……)

※#01~#06の解説はこちら
※#09, #10の解説はこちら
※各話のあらすじは公式から引用、また画像の著作権はすべて© tari tari project に帰属します。


・第7話「空回ったり 見失ったり」
和奏を正式メンバーとして迎えた合唱部は、次の発表の場を白浜坂高校の文化祭「白祭」に決定。教頭が顧問を務める声楽部には負けたくないと意気込むメンバーだったが、実際にステージで何をするのかはなかなか決まらずにいた。さらに来夏は生徒会の副書記である弟の誠から、メインステージの使用は選考会をパスしなければならず、その責任者が教頭であると聞かされ頭を悩ませる。そんな彼女を見て和奏は、白祭の参考にと市民ミュージカルに来夏と紗羽を誘うことに。大喜びの来夏だったが、紗羽はどこか元気がなかった……。
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_10531518.jpg
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_10532613.jpg
「人がいるっていいね」

正式に合唱部のメンバーとなった和奏は、積極的に部員の発声練習の指導に当たる。その中で彼女は「一緒に歌ってくれる誰かがいるって素晴らしい」というシンプルなことに気付く。また、校内では文化祭に向けた動きが活発になってきており、合唱部も体育館のメインステージを次なる発表の場とすることに。だが、それを快く思わない集団もいた。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1164955.jpg
「よかったね。楽しく遊べるお友達ができて」

7話では、物語終盤に向けて色んな動きが出てくるのですが、その一つに「声楽部(教頭)との対立」が挙げられます。「声楽部には将来のことも考えて真面目に活動している子も多い」と語ったように、教頭の指導の下、常日頃から厳しく音楽と向き合ってきた彼女たち。そんな彼女らには、「楽しんだり、楽しませたり」をモットーに掲げる合唱部の存在が「ただのお遊び」のように映ったわけですね。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1116498.jpg
「競馬なんてギャンブルじゃないか。寺を継がなくてもいい。公務員でも何でも、ちゃんとした仕事をしながら、趣味で馬に乗りなさい」

一方、紗羽の家では、自宅に届いた競馬学校のパンフレッットを見た父親が猛反対。しかし本気で騎手を目指している紗羽は親の意見に耳を傾けようとしない。そんな娘に、父はさらに言葉を重ねる。
「お前の飯も服も学費も、全部仕事をして稼いでいるんだ。働いて家族を養う。それが仕事だ。お前の馬乗りは仕事じゃない。遊びだ」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1125692.jpg
「何それ! 頼んでないよ! だったら返すよ、こんなもん! 売ってお金に換えてきたらいいでしょ!」

親譲りなんでしょうね。父親も頑固ですが、紗羽も頑として自分の意志を曲げようとしない。結果、親子の溝は深まるばかりで、ついには「大っ嫌い!!」と吐き捨てて部屋を出て行ってしまいます。でも、このシーンすごく共感できるんですよね。僕の場合、母親がこんな感じだったので。
和奏編とは違い、もっと身近な「家族の反発」と「夢を遮る現実」。その狭間で揺れ動く心情が、7,8話のメインスポットとなります。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_11342171.jpg
さて、生徒らが文化祭に向けて準備を進める中、学校側ではなにやら不穏な空気が。理事長が学校を訪れ、「例の事業計画」が正式決定になったことを告げる。そのことに対して、立場的になにも言い返せない校長だったが……。これも終盤に向けた動きの一つですね。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_11422837.jpg
競馬学校の応募資格に「体重制限」があることを知った紗羽は、食事を抜き、無茶なダイエットを始める。合唱の練習では、眩暈を起こして倒れてしまう場面も。そんな紗羽を心配する合唱部メンバーたち。だが、来夏の勘違いにより、彼女の悩みを知るのはもう少し先のことになる。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1147534.jpg
「チャンスをください! 私ずっと! 好きなだけじゃダメなんですか!? そんな半端な気持ちじゃありません!」

夢を諦めきれない紗羽は、競馬学校へ直接電話をかける。彼女に限らず、合唱部みんな何かしら目標に向かって真剣に取り組んでいる姿勢が見ていて気持ちいいです。来夏は受験勉強と歌、田中は受験勉強とバドミントン、そして和奏はと言うと……。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_11575150.jpg
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1158147.jpg
「作曲?」
「お母さんが楽譜残してくれたんだけど、それが書きかけで」
「続き書くんだ」
「うん、約束だから」

母親が残してくれた曲を完成させる。それがまず和奏が形にしたいものです。「一緒に歌を作ろう」って、約束したから。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1221319.jpg
後日、白祭の参考にと誘われたミュージカルでもやっぱり元気がなかった紗羽。その帰り道でも、和奏と来夏の誘いを断り、一人流鏑馬の練習へと向かう。しかし無茶なダイエットにより、軽度の栄養失調状態にあった紗羽は実力を出すことができず……。

こんな感じで、第7話をまとめると次のようになりますかね。

<白祭(終盤)に向けた大きな動き>
  • 和奏の正式加入と、合唱部の出し物決め
  • 声楽部(教頭)との対立
  • 理事長が進めている事業計画
  • 和奏の作曲
<7,8話のメインスポット>
  • 紗羽の競馬学校進学への夢と、それを遮る現実と、親の反対


・第8話「気にしたり 思いっきり駆け出したり」
父親に反対されながらも競馬学校への進学を諦めきれずにいる紗羽。だが、一番の問題は応募資格にある様々な条件だった。一人で悩み苦しんでいる彼女を心配する来夏と和奏は、紗羽が恋に落ちたのだと勘違いしてしまう。一方、今まで使っていた部室が白祭のメインステージ選考会のため声楽部に解放され、練習をできずにいた来夏たち。それを知った紗羽は、鬱憤を晴らすかのよう声を荒げるのだが……。
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12265661.jpg
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12274969.jpg
「流鏑馬の出場は諦めなさい」

幸い、落馬の怪我は大したことなく、簡単な診察だけで済んだ紗羽。しかし帰宅途中、またしても父親からそんな言葉をかけられる。理由は「未成年に怪我をさせたら責任が取れないから」。「他人様に迷惑をかけたんだ。頭を冷やしなさい」という父の言葉に、この時ばかりは何も言い返せず俯くしかなかった。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12355452.jpg
「このままじゃ入れないの……。体重制限があって、ちょっとでも越えたら受験もできなくて。もし痩せても、両親の面接があって、まだ背が伸びそうだとやっぱりダメなんだって……。電話してみたけど……無理だろうって……」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12384465.jpg
「だから言っただろう。そんなことも知らないで、夢ばかり見ているからこういうことになるんだ!」

家に帰った紗羽は、最近娘の食欲がないことを心配していた母親に、悩みをすべてを打ち明ける。遊びではなく、本気で目指しているからこそ、悔しくて、でもどうすることもできなくて。色んな思いをため込んだ心は、今にも壊れそうで……。だから、「自分の甘さが分かっただろう」という父の言葉を振り払うように絶叫する。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12465136.jpg
「うるさい! うるさい! うるさい!! もう出てって!!」

感情の高ぶりを抑えられない、まだ未熟な様子は、年相応の反応って雰囲気がよく出てると思います。もう二十歳を過ぎた僕でさえ、たまに両親と喧嘩になると、感情にまかせて声を荒げてしまうことってありますから。特に紗羽の場合、ほんとに小さな頃から馬と触れ合ってきたんだもんな……。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1254782.jpg

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_12565064.jpg
「……うるさい。笑わせないでくれる? 教頭に敷いてもらったレールの上をただ歩いているだけの人が、なに偉そうなこと言ってんの。知らないからって何もできないと思ってる? そのおめでたい頭でモノを考えるのもいい加減にしたら。
……まだこれからなのに何で無理って決めつけるの!? うまく行くかもしれないじゃない! それなのにチャンスももらえないなんておかしいよ!」

家庭のこともあり、精神が少し不安定になっていたんでしょうね。声楽部からまたもや「お遊び」だと言われ、それが引き金となって、心にため込んでいた鬱憤を思い切りぶつけます。言葉の後半は紛れもなく自分自身が置かれた理不尽さに対しての不満・文句ですね。
これ以上事を荒立てるのを防ぐために、合唱部はその日の活動場所をウィーンの家に移すことに。また、そこで初めて紗羽の悩みを聞いた合唱部メンバーは、根拠のない励ましを彼女に送る。そんな中、和奏だけは「今の自分の気持ちが少し落ち着いてみえるまで、離れてみたら?」と助言する。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1353170.jpg
「なに悟ったようなこと言ってんの。和奏はいいよ。音楽に戻ってきて、今続けているからそんなことが言えるんでしょ! 私は、今離れたらもうおしまいなの!」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13101334.jpg
「……うん、私、音楽に戻れてよかった。……約束だから。お母さんと一緒に歌を作るって。歌で今でもお母さんと繋がっている。……でも、もしもう一回だけお母さんに会えるなら、私音楽をやめてもいい。……けど、それはもう叶わないから」

こんなこと言われたら、さすがの紗羽も反論を飲み込むしかないよな……。
さておき、その後日。メインステージの選考会の件で教頭に呼び出された和奏と来夏。辞退を促す教頭に、来夏はあくまでも「歌いたい」と主張する。そんな彼女に苛立った教頭は矛先を和奏に変え、問い詰める。「普通科への転科を認めたのは、こんな半端なことをするためじゃない」と。その言葉を受け、和奏は自然と自らの気持ちを語り出す。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13154962.jpg
「私、合唱部に入るまで、音楽は孤独で、一人で技術を磨くものだと思っていました。でも、それだけじゃダメだったんです。色んな人がいて、気持ちがぶつかったり、すれ違ったり……楽しかったり苦しかったりして……うまく言えないけど、本当に綺麗なハーモニーを奏でるには――」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13245250.jpg
「本当に綺麗なハーモニーを奏でるには、私一人じゃできないもん。楽しいでしょ? 人がいるっていいよね」

和奏の独白が、昔まひるに言われた台詞とシンクロする。「一緒に歌ってくれる人がいるって素晴らしい」。奇しくも親子から同じことを言われた教頭は、明らかに心が少し揺れていましたね。「いつでも厳しく、真面目に音楽と向き合ってきた自分」と、「音楽から愛され、常に楽しく接していたまひる」。そのコンプレックスが普段の態度にも表れていたわけですが、その転換点がここにあるように思います。さらに、来夏からもこんな言葉が。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13345976.jpg
「教頭先生、私、音楽から愛されてます。……ほんのちょっとだけど。覚えてますか? 私には「人の心を動かす特別な何かがない」って。一人じゃ無理だけど、みんなの力を借りれば、ほんのちょっとだけ人の心を動かせるようになったと思います」

合同発表会。ワールドミュージックフェスティバル。その舞台で、彼女たちの歌に心を動かされた人たちは確かにいた。決して大きな数ではないけれど、でも来夏の言葉は真実だ。そのほんのちょっとを大きく育てるのが教師の仕事。だから、自分たちをステージに立たせてください!と二人は頭を下げる。その姿勢に教頭もついに折れる。
「……じゃあ、それを証明してみせなさい。メインステージ参加希望者の選考会に合唱部として参加して、成長したことが口だけじゃないことを証明しなさい」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13452388.jpg
こうして選考会に出させてもらうことになった合唱部だったが、肝心の紗羽が学校を休んでいて、このままでは四人で歌うことになってしまう。なんとかしなければ、と思うものの、電話には出ないし、メールの返事もかえってこない。
しかしその頃、紗羽の実家では、父親がなにやら怒声をあげていた――。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13504093.jpg
「理由を聞いているんだ、理由を! 親の身長? そんなもの関係ないだろ! 大事なのは、馬の気持ちじゃないのか。――うちの娘は本気なんだ。子供のころから馬に乗って、世話も出来るし、誰よりも馬の心が分かる優しい子だ。なにぃ、もう一回言ってみろ! 坊主舐めんな! 地獄に落とすぞ!」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_13547100.jpg
「なんだかんだ言って、お父さんは紗羽が大切で仕方ないのよ。相変わらず気持ちを伝えるのが下手すぎるけどね」

和奏の親父さんにしろ、紗羽の親父さんにしろ、娘のことを真剣に想っている親バカである点では同じですね。だがそれがいい。自分のことを応援してくれている父の姿に、心のもやもやが晴れた紗羽は、携帯の呼び出しに応じる。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1359585.jpg
「今から行くから待ってなさいよ!」

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_141455.jpg
自転車を学校に置き忘れていたことを思い出した紗羽は、サブレに乗って登校することに。いや、馬に乗って公道走っていいのかよって色々ツッコミ所はあるけど、でもこういう展開は好きです。サブレとの絆の表現って意味合いも含まれているんでしょうね。

TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1431379.jpg
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1432619.jpg
TARI TARI ストーリー解説&名場面集(#07, #08)_c0219090_1434510.jpg
ぎりぎりで間に合う→ハイタッチ→そのまま全員でEDへ。
この流れ好きだわ~! 和奏も加わった五人のEDは第7話から使われてますが、物語の流れ的にここにしました。うん、やっぱり五人揃ってこそだよね!
そんなわけで「潮風のハーモニー(5人 ver.)」FULLです!↓


では、また次回!

by broken-range | 2012-11-04 14:08 | TARI TARI