人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~/三上延」読了

北鎌倉の古書店を舞台にしたビブリオミステリ、「ビブリア古書堂の事件手帖」の続編読み終わりました。

前回よりも、一話ごとに話が長くなったのでより深みが増したように感じましたね。
本そのものの物語――著者も含め、その本に関わったすべての人たちの物語が少しずつ解き明かされていきます。それは父から子への大事なメッセージであったり、万引きや読書感想文の書き写しなどの後ろめたいモノであったり、恋人関係が始まるきっかけになったモノだったり、実に様々です。
今回扱った古書は以下の四つ。

・坂口三千代 『クラクラ日記』(文藝春秋)
・アントニー・バージェス 『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)
・福田定一 『名言随筆 サラリーマン』(六月社)
・足塚不二雄 『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)

このほかにも作中には、国枝史郎 『完本 蔦葛木曽棧』、司馬遼太郎 『豚と薔薇』など、有名な古書も色々紹介されています。
個人的には、第二話の『名言随筆 サラリーマン』の話が泣けた。すっごいあったかくて、思わず涙腺緩んでしまったよ!
で、感動系もあれば悪意が混じっている話もあるわけで、栞子さんのお母さんに関わる物語ではちょっとショックだった。栞子さんがお母さんのことをあれほど嫌っている理由の片鱗が見えたような気がしますが、10年前に失踪した謎のすべてはまだ解明されてないんですよね。
なにかほかにもエピソードがあるのではないかと睨んでいますが、果たして三巻で明かされるのだろうか。

栞子さん自身に関しては相変わらず可愛い人です。
人見知りが激しい性格ながらも、主人公に仕事の手本を見せるために頑張って接客しようとする姿とか健気でいいね!
あと、洞察力も半端なく鋭いです。まあ、本限定だけど。
読者がさらっと流してしまう部分も上手くつなぎ合わせて、ほぼ完璧なストーリーを作り上げてしまいます。
古書には、それだけ様々な情報が含まれているのでしょう。本を愛してやまない栞子さんだからこそ分かる手掛かりが。
そんなわけで、古書にまつわる素敵な日常系ミステリでした。

では、ろりこん!

by broken-range | 2011-11-03 19:30 | 読書レビュー