カテゴリ:読書レビュー( 85 )

【怪盗レッド7 進級テストは大ピンチの巻/秋木真】【名探偵 vs. 学校の七不思議/はやみねかおる】読了

試験終わって更新再開。
今回は両方児童書だよ!

【怪盗レッド7 進級テストは大ピンチの巻/秋木真】
今回は怪盗レッドの身内に関する情報がかなり追加されてました。初代レッドが、父親の妹(つまり、アスカのおばさん)の美華子さんを含めて3人で活動していたこと。そしてアスカとケイの母親についての回想など。
思い出を語る場面では、二人の年相応さが垣間見えたような気がしたり。うん、やっぱり”親”という存在は大きくて大切なものなんだなーというのを感じました。今回のターゲットも、母親の形見であるペンダントだったしね。
しかし、そう簡単にはいかないのが怪盗修行の道。ペンダントが神社の宝物庫にあるということまでは分かっているものの、肝心の宝物庫の場所を知っているのが島でただ一人の巫女のみ。
どうにかして彼女と接触しなければならないが、予想外のハプニングが起きて……。
みたいな感じでそれなりに楽しめました(巫女さんの名前が花梨さんで思わず爆笑したとかそういうことはry)
あとは、レッドと敵対する組織についても最後にちょっと触れられていました。今まで登場した刺客もその組織のメンバーだったらしく、どうやら話が大きくなりそうな予感。
日常パートも好きだけどねw
まあ、詳細は続きを待つとしましょう。

【名探偵 vs. 学校の七不思議/はやみねかおる】
待ってたよ教授―――――!!!!!!!!
はい、小学校の頃から夢水清志郎シリーズの大ファンとしてはもうテンション上がらざるを得なかった。マチトムとか怪盗クイーンとか虹北恭助とか色々出てるけど、やっぱりこのシリーズが一番好きかな。執筆の原点でもあるし。
さて、今回のお相手はタイトル通り学校の七不思議。1~6まではすでに確定されていて、最後の1つが揃ったとき学校に閉じ込められるという言い伝えがあるそうな。
ほんと小学校にしろ中学校にしろ商店街にしろ謎に尽きない街ですね。是非住んでみたいものです。
で、この七不思議の謎を探ろうと夜の学校に侵入。はやみねさんの作品、たびたびこういう場面あるよねw いいなあ、僕もリアルでやってみたいry
メンバーは主人公の伊緒ちゃんに教授、前回登場したルイと彼女のクラスメイトたち。このクラスメイトたちもまた一癖二癖ありそうなキャラでして、今後も物語を引っかき回していくんだろうなーと予想しています。あと伊緒ちゃんとの恋が発展していくかも……?
謎解きの方は、やはりというべきか、二転三転とどんでん返しを持ってきてました。そのときはやみねさんが意識しているのは動機でしょうか。なぜこのようなことをしたのか、という部分を大切にしているように思います。
作品全体の印象をがらっと変わることも多いですしね。
あとは、教授が犯人を追いかけるのは珍しいかも。意地汚さは変わってなかったけど←
続きが待ち遠しい。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-08-23 21:55 | 読書レビュー

【ソードアート・オンライン3,4 フェアリィ・ダンス/川原礫】読了

久しぶりにラノベ道まっしぐら。
というより推理小説以外を読んだのも数年ぶり? なんとなくラノベが肌に合わず長く遠ざかっていましたが、SAOはそれを引っくり返してくれるほど熱くて面白い!
もともとファンタジー好きでしたしね。「こういうの読みたかった!」って心から感じたのどれくらいだろうか……。
さて、前置きはこのくらいにして読書レビュー。

【ソードアート・オンライン3,4 フェアリィ・ダンス/川原礫】
アインクラッドの崩壊、SAO事件が終わって現実世界へ戻って来られたキリト。しかしアスナは未だに目覚める気配がない。エギルの情報によると、どうやらSAOとは別のVRMMO・「アルヴヘイム・オンライン(ALO)」内に囚われているようだが……。
彼女を助け出すため、キリトは再びVRMMOの世界に飛び込む! そこは中央に巨大な世界樹が鎮座し、妖精たちが自由に空を飛び回る仮想世界だった!

そんなわけで、2巻の短編集を挟んで、ここからが1巻の正式な続編ですね。正直、1巻で世界が滅んだあとはどうやって話を繋げるのか疑問でしたが、なるほどこういう展開も面白い。
しかも新しい異世界の描写が細かいこと細かいこと。アインクラッド編でも一つ一つの描写が丁寧だなーと思ってはいましたが、アルヴヘイムのそれは「まるで実際に見てきたかのよう」で、同じ物書きとして舌を巻かざるえませんでした。
翅を活かした空中戦、建物の色彩や形、妖精の種族ごとの特徴、ダンジョンや地下世界の構成などなど、作者の中には一つの世界がしっかりと明確なイメージを持って根付いているのが感じられました。それに加えて、現実世界の事情もしっかりと構築してあり、SAO事件が世間にどのような影響を与えたのか、VAMMOというジャンルの今後、といったことにもきちんと触れられていたのがよかったです! よりリアリティが増したようで。

さて、3,4巻ではアスナを救出するためにアルヴヘイムの大地を飛び回るわけですが、最初にログインした段階でSAOのステータスを一部引き継いだからか、今回もキリトさん無双でしたね。無理そうな状況でも構わず突っ込んでいったり、窮地に陥っている人を助けたりと、相変わらずのイケメンっぷりすなぁ。や、尻込みする主人公よりは読んでいて爽快ですけれど。
そんなわけで、キリトさんに惚れた女の子がここにも一人。同行者でもあり、現実ではキリトの従妹に当たる、リーファ/直葉が今回の裏ヒロインになってます(いや、フェアリィ・ダンス編に限って言えば、彼女が表ヒロインのような気もしなくはないですが)
現実でも異世界でもキリト/和人に恋をしているリーファ。しかし彼にはアスナがいて、自分が気持ちを伝えられる余地はどこにもない。いっそ従兄同士であることを知らされなければ、あるいはSAO事件以降、兄が自分に優しくしなければ、この気持ちに気付くこともなかったのに……と、芽生えた恋心と、それが叶わないことへのやるせなさで彼女の心は激しく揺れ動きます。4巻ではついに感情任せにキリトに酷いことを言ってしまう場面も。
しかしそれが逆によかったです。2巻のリズ編を読んだときも共感しましたが、こういう場面があるのとないのとではだいぶ物語の重みも変わってくると思うんですよね。恋には色々な障害がつきものだと思いますから。
なので、バトルだけでなく、恋愛面でもアインクラッド編より読みやすかったです。
最後に個人的に熱くなったシーンですが、まず世界樹内での戦闘。キリト、リーファ、レコンの3人だけではどうにもならなかったときに、領主たちが駆けつけてきてくれた場面は「おおおおおお!」と血が滾りました!
それから、ALOも終わり、かつてのSAOプレイヤーのために作られた学校で、リズ、シリカたちが再び登場した場面からエギルの店でのオフ会、そしてラスト――みんなでまたアインクラッドの浮遊城へと挑戦するまでの流れは神!!! みんな集まる場面ってほんと好きなんですよね僕w
リズ可愛いよリズ。シリカちゃんもね!←

さて、次はファントム・バレット編か。
果たしてどんな世界が待っているのか。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-08-04 22:43 | 読書レビュー

【ソードアートオンライン1,2 アインクラッド/川原礫】読了

今季アニメ放映中の「ソードアートオンライン」。通称「SAO」と知られている噂の原作を読んでみました!
ちなみに僕はアニメから入った新参者で、現在放映されている所まで以外の情報は一切知らない状態で読んだ感想です。
では、以下で詳しく。

【ソードアートオンライン1,2 アインクラッド/川原礫】
まず、アニメの第一話で、これがVRMMORPG(仮想大規模オンラインRPG)であり、同時に自身のHPがゼロになった瞬間、仮想世界からも現実世界からも永久追放――つまり死ぬというデスゲームであることは知っていました。そしてファンタジー、RPG好きなら心動かされる世界観、モンスターとのバトル、数々の剣技(ソードスキル)にギルド! これだけ取ってもみても魅力的で、アニメ2話を見て完全にハマりました。
そして3話でパーティの仲間が全滅してしまうという、暗いけれど、物語に重みを持たせるためには必要不可欠な話を。そして4話ではプレイヤーがプレイヤーを襲うという許されざる行為でありながらも、そこにある種の現実的な人間臭さを感じさせるような話をもってきたことに好感を覚え、原作読むために本屋へ走りました。

まず1巻。
序盤は当然ながら、ソードアートオンラインの世界観や用語解説などの説明に重点が置いてありました。こちらはとても詳しく、かといって冗長でもなく、適度にわかりやすくまとめられていたのですんなり頭に入ってきました。まあ、RPG好きの人間からしてみれば、なじみのある単語も数多く出てきましたしねw
そして気になるバトル描写も、動作一つ一つ、モンスターの特徴一つ一つを丁寧に、しかしスピード感も損ねずといった感じでとてもよかったです! きっと作者の人はMMO大好きなんだろうなーとそんなことを思いました。
しかし中盤。アスナと出会ってから、キリトと結婚するまでの話は正直納得いきません。くっつくまでにはそれ相応の過程があって然るべきですが、その過程がほぼ省略されているからです。なのに、必要以上にいちゃいちゃするヒロインと主人公という構図に、どうしても疑問を抱かずにはいられませんでした。
そして終盤。彼らが攻略組の最前線に戻り、このSAOを作ったラスボス――茅場晶彦と対決する場面は熱かったし興奮もしました。やや終わりが呆気ないような気がしないでもないですが、全体の流れ的に、序盤→◎、終盤→△、終盤→○って感じでした。
で、自分の中ではずっとアインクラッドで冒険が続くのだとばかり思っていたので(つまり、キリトたちが100層にたどり着くまでの軌跡を描いた物語だと思っていたので)、まさか1巻でゲームクリアし、世界が崩壊するなんて意外でした。「えっ、この続きどうなるの!?」と本気で思いましたよ。

そして「読了後に鬱になる」と評判な2巻に早速突入。
こちらはアンクラッドで知り合った4人の少女たちと、キリトさんの物語。つまり短編集という形をとってました。
アニメ3話で放映された「赤鼻のトナカイ」も含め、そしてシリカやユイなどのロリも含め、充分に楽しめましたが、SAOに「キリトの成長過程」みたいなものを勝手に期待していた僕にとっては所々消化不良気味。でも読んでいて少し認識を改めました。
これは主人公の成長を見守るファンタジーなんかではない。VRMMOであり、HPがゼロになると死ぬデスゲームであることを、つまりSAOはSAOであり、一般的なファンタジーではないことに改めて気付かされました。それにキリトさんは苦労して少しずつ成長するというよりは、最強キャラのほうが似合ってますしねw
しかしニコニコで囁かれていた「美少女攻略組」は、揶揄じゃなくて実際その通りだったな。羨まs……げふんげふん。
ひとまずアインクラッド編を読み終えた現時点で、一番好きなキャラはリズ。その次にロリ補正かかってシリカ。んで、ユイ、サチ、アスナの順かな。
次からはまた別のゲーム内に舞台が移るようなので楽しみ。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-08-02 20:11 | 読書レビュー

【ふたりの距離の概算/米澤穂信】読了

古典部シリーズ最新刊ようやく読み終わりました!
最初はSAOと合わせて記事書こうかと考えてましたが、両者路線が違うのでわけることにしました。
では早速。

【ふたりの距離の概算/米澤穂信】
季節も一巡りし、2年生へと進級した古典部員の面々。当然、年度の始めにやることといったら「新入生確保」です。
物語は新しく古典部に仮入部した女生徒――大日向友子を中心に、彼女と過ごした二ヶ月の間にどのような心情の変化があったのかを模索する話です。
ええ、「過ごした」と過去形にしたように、彼女は五月の終わりに開催されるマラソン大会の前日に「入部しない」と千反田に言い残し、古典部を去って行きました。もちろん、千反田にしても他の古典部の面々にしても、大日向が急に退部を申し出た理由がわかりません。いくつか気にかかる点はあれど、それまではお互いうまくやっていけていると信じていたからです。
では、なぜ大日向は入部しないと言い出したのか?
原因はどうやら千反田にあるようで、大日向は彼女のことを「菩薩のようだ」を言いました。
菩薩――すなわち、外見に反して内面は夜叉、または鬼である、と。
この言葉にホータローは首を傾げる。すべてではないにしろ、この一年を通して千反田のことは多少理解している。そして千反田は、無闇に人を傷つける性格ではないはずだということも。
なら、「ふたりの間に生じた距離」とは何に起因するのか? マラソン大会が終わるまでに、それを突き止めるのが今回のお話です。

ふぅー、あらすじだけでだいぶ長くなってしまいましたね。それでは感想にまいりましょう。
まず、そんなわけで全体に渡り、かなり心理的側面が大きく関係してくることは言うまでもありません。問題はその見せ方、というか「隠し方」でしょうか。
ただ漠然と読んでいるだけでは、大日向の心の移り変わりを捉えることはできないでしょう。実際、僕もホータローの謎解きを聞くまで(これは古典部シリーズでも一番重いものでした……)、ピースは揃っているのに、どう組み立てればいいかわからないもどかしさ、完成図が見えない不安さを覚えました。
推理小説には、途中で朧気ながら解決の一部が見えてくることもありますが、これは違う。
本当に「わずかな描写から深く考察していかなければ、彼女の隠された心情を発見することさえ難しい」という感じでした。
そういう意味では、今回のホータローの謎解きは見事でした。そんな細かい所からも読み取れるのか!みたいな感じで。それはつまり伏線の隠し方が非常に緻密だったことを意味します。
一方、最後の詰め――では謎を解いた上で、大日向にどう言うべきだったのか。
誤解を解くことはできる。言葉次第では、今は難しいにしろ、彼女をもう一回古典部の仲間として迎えることもできたかもしれない。
――でも、ホータローはできなかった。
それは敗北と同義なのか否か。そんな議論をここでするつもりはありませんが、個人的にはあの終わり方もありだったと思っています。
これは大日向を巡る物語であるのと同時に、古典部、そしてホータローの物語でもあるのですから。
ホータローがどのように感じ、次のときはどう行動するのか。その成長(と言ってもいいのかな?)を見守るのも古典部シリーズの魅力だと思っています。
続き楽しみですね!

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-08-01 16:36 | 読書レビュー

【ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~/三上延】読了

本日二つ目の読書レビュー。
いやあ、一日に3冊読むとさすがに疲れますねぇ。
しかし内容忘れないうちに記録だけつけておかねば。

【ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~/三上延】
古書にまつわる様々な物語を扱った、大人気ビブリオミステリ3作目。
今回も前作からの登場人物やリンクがあり、思い出すまでに少し時間かかりましたが、内容はやはりひと味違った面白さがありました。
まず人が死なない。ほぼ古書から読み取れる情報のみで事件を解決する。探偵役の栞子さんが相変わらず可愛い&圧倒的な本の知識がすごい!――ことに加えて、今回は主人公との(恋愛)進展を促すような出来事はあまりなくてちょっと残念でしたが、代わりに彼女の母親の秘密が裏テーマに据えられていました。
新規に登場した人物の多くも、篠川智恵子となんらかの関わりがあった人たちで、表向きの事件を解決する一方、そちらの謎も少しずつ紐解かれていくような感じでした。
とは言え、古書にまつわる事件のほうも充分興味深い話でしたよ。なにより各話の読了感が良い!
そこに込められた想いを正しく汲み取ることによって、長年の誤解が解けたり、あるいは気持ちが通じたり、そんなほんわかするような解決シーン。
また、栞子さんも普段はシャイですが、言いたいときには大声ではっきりと言う姿勢も好感が持てます。そのギャップがさらに彼女の本好きを引き立たせているようで。
これからもシリーズを追いかけたいですね。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-31 23:06 | 読書レビュー

【黒猫・アッシャー家の崩壊・モルグ街の殺人・黄金虫/エドガー・アラン・ポー】読了

よ、ようやく読み終わったぜ……。
海外の作品はカタカナの固有名詞を覚えられない上、(訳の関係上だとは思いますが)日本語とはやや異なる表現が多くて今ひとつ場面や心情を掴みづらく、時々挫折しそうになります(ってか今回もなりました)
それでもミステリファンとしては、ポーの作品を読んでおかねばなるまいと固く心に誓ったので、ある意味意地のみで読み切りました。
以下感想。

【黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集Ⅰゴシック編/エドガー・アラン・ポー】
表題作含め、全部で6つの短編を収録したもの。
黒猫・アッシャー家の崩壊に関しては、Wikiによるとポーを代表する有名作品みたいですね。まあ、僕の場合は、夢水清志郎シリーズで亜衣がちょこっと話題にしていたので、いつか読んでみたいと漠然と思っていたのですが。
さてさて、全体としては長文が多く、そのほとんどがページぎっしりに渡る地の文のみで、また比喩なども日本人にとっては大変分かりづらく、「会話文どこー?(´・ω・`)」みたいな感じでまじ挫折しかけました……。いや、引用例はたくさん書いてあってすごく博識な方だったんだなーってのは分かったんですが、海外の作品や人名を例に出されてもこっちはわからねぇんだよおおおおおおおおお!!
……はい、すみません。客観的に評価しますね。
まず、「黒猫」。これは短編集の中でも話がわかりやすく、読みやすいものでした。その次の「赤き死の仮面」も含め、路線としてはホラーよりも不条理系ですかね。チャットメンバーを例に出していいものか迷いますが、るっさまの作品と似たような感じ(ってことはつまり、日本の作家さんで言うと甲田学人さん寄り?)
徐々に滲み出る恐怖あるいは狂気、怪しげな仮面舞踏会、結末はデッドエンドと、割と共通点があるかと思います。
そのほかに気に入ったのは「落とし穴と振り子」。
こちらは主人公が監獄に閉じ込められ、色々な責め苦にあうという、なんか某女王陛下が好みそうな話。それでいて脱出ゲームってほどではないにしろ、迫り来る恐怖の傍らあれこれ頭を働かせる所がよかったですかねー。

【モルグ街の殺人・黄金虫 ポー短編集Ⅱミステリ編/エドガー・アラン・ポー】
ゴシック編に続き、こちらはミステリを集めた作品群。そして僕が一番読みたかったもの。
そう! 表題作の「モルグ街の殺人」は史上初の推理小説と言われている短編であり、その作中に登場するオーギュスト・デュパンこそが後のあらゆる名探偵の祖なのですから!
冒頭は、いかにも読者を「洞察力・分析力が必要な世界へ案内しましょう」といった感じで、分析力がいかに大事かということを長々と書いています(長文苦手な僕でもここだけは真剣に読みました←)
そして史上初の探偵、オーギュスト・デュパン登場。そして早々その卓越した洞察力から導き出される推理を披露してくれます。……が、かなりしゃべる量が多すぎやしないか…?とは思いました。
だって、丸々3~4ページに渡って「」が途切れることなく続いているんだもの。個人的にはもうちょい情報削ってすっきりまとめてくれた方が読みやすかった。まあ、ポーの作品は得てして一文一文が長くなる傾向があるみたいですけど。
でもまあ、これは確かに”ミステリ作品”でした。解決編は少し意外でしたが、ここから推理小説と呼ばれるジャンルが急速に広がっていったと思うと胸が熱いですね。
一方、「黄金虫」は初の暗号解読小説です。「アラカルト」最新話でもちょこっと触れています、ってかあの解読法こそ、この作品で使われていたものとまったく同じです。すなわち、「頻度分析」という暗号解読法によってキャプテンキッドが残した財宝を探し当てています。
そのほか「盗まれた手紙」も、大臣の心理的側面から手紙の隠し場所を発見するなど、なかなか興味深かったです。

しかし、やはり僕は日本人。
日本の作品が恋しくなったので、おとなしく戻ることにします。
では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-31 12:34 | 読書レビュー

【交換殺人には向かない夜/東川篤哉】【中途半端な密室/東川篤哉】読了

毎日コンスタントに最低二冊は読まないと積み本消化できぬ。
ってことでほぼ毎日読書レビュー書くと思いますが興味ない方はスルーしてくださいませ。

【交換殺人には向かない夜/東川篤哉】
烏賊川市シリーズ通算四冊目。最後まで読んでみたところ、多分シリーズ中もっとも凝った構成になっていました。
トリック、というか読者を騙す方向性としては「もう誘拐なんかしない」と一番近いでしょうか。
東川さんお得意の「あたかも同じ時間軸上で複数の物事が進行している」ように見せかけるのが上手いです。
通常、この手の手法は最後のつじつま合わせでかなり苦労するほうなのではないかと思うのですが、一切の矛盾もない解決編は見事でした。それまで周到に張られた伏線や描写にまんまと騙されたまま読み進めてしまったため、実際解決編一歩手前の段階では「え? え?」ってなりましたよ。
そうですね。作品の完成度で言えば、「もう誘拐なんかしない」よりもこちらの方が高いかな。
読者のみならず、探偵、警察、そして作中の事件関係者のほとんどを見事に騙しきったのですから。
うーん、いやでもあっちも面白いだよね~。ヤクザさんのお宅が絡んでいて、何も知らない主人公が巻き込まれるシチュエーションとか、ユーモア溢れるヤクザさんの面々とか。
対してこちらは、シリーズ二作目に登場した十善寺さくらと戸村流平のデート話ににやにやしました。もうちょっとかっこいい所見せろよ流平。あと水樹彩子さんのキャラ好きでした。さばさばしてて。
探偵サイド、戸村サイド、そして警察サイドと、三つの視点から描かれるとある「交換殺人」の物語。
興味ある方は是非本書をご堪能あれ(←なんの宣伝だ

【中途半端な密室/東川篤哉】
さて、烏賊川市シリーズから少し離れまして、こちらは短編連作(表題作含め全部で5つ)。
さすがに短編だけあって、謎解きにしろ動機にしろ「うーん、そんなものでいいのかな」と少し首を傾げてしまうようなあっさりしたものが多いのですが、「十年の密室・十分の消失」と「有馬記念の冒険」には心惹かれました。
前者は十年前に起きた密室殺人事件の謎と、わずか十分の間でその建物がまるごと消えてしまったという謎を扱った話。それだけでも充分魅力ですが、動機・目的面においても犯人(ここは敢えてそう呼びましょうか)の人情が窺える良い話でした。他の短編よりも長めだったから感情移入もしやすかったしね。
後者は有馬記念(競馬レース)が事件に大きく関係するファクターとなっている話。
とある男性が何者かに殴られたのがちょうど発走時刻。しかし容疑者とされるその男は、馬が2500mを走破する約2分30秒の間に、現場から同じく2500m離れた自宅まで移動していたことが証言されている。
師走で道路も歩道も大混雑するこの時期、どんな乗り物を使おうとそれは不可能である。しかしここにはある巧妙なトリックが隠されていて……。
みたいな感じ。
しかもこれらの謎を「安楽椅子探偵」風に解決しちゃう所がすごい。まあ、だからこそ曖昧な部分もあるっちゃありますが、それでも魅力的な謎には変わりません。
関係ないけど、これもある種のシリーズものとして捉えていいのかな……?

さて、お次は海外の推理小説に手を出しましょうかね。
では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-30 21:27 | 読書レビュー

【密室に向かって撃て!/東川篤哉】【完全犯罪に猫は何匹必要か?/東川篤哉】読了

がんがん行きまっせ読書レビュー。
ずいぶん前に紹介した「烏賊川市」シリーズの続編です。

【密室に向かって撃て!/東川篤哉】
シリーズ一冊目を読み終えてからだいぶ間が空いてしまったので、鵜飼探偵と砂川警部以外のキャラをやや忘れかけていましたが、問題なく読めました。
東川篤哉さんと言えば、なんとなく「密室」をよく扱う人だという印象があるのですが、今回は鍵のかかったものではなく、開放的かつ誂え向きな自然地形を活かした謎でした。
事件の起きた離れは海に突き出た断崖絶壁の先端に建てられており、そこに続く階段は一つしかなく、その唯一のルートでさえも大勢の人の目に触れられているので、(45メートル下の海に飛び込む以外に)犯人の逃げ場はありません。
それだけでも一つの難問ですが、この事件では全体を通してある一つの「拳銃」が重要な鍵となっている所が面白いです。いや、正確には「弾数」でしょうか。
詳しい内容は語れませんが、合計8発の弾が「いつ」「どこで」「どのように」撃たれたか。
そこにトリックを仕掛ける余地があったのですが、これがなかなか論理パズル、あるいは詰め将棋に似た面白さを味わえました。
「えっ、そんな所で使うの!? あと数発しか残されてないのに!?」みたいな。
多くも少なくも8発。これをいかにして使うかという所に捻りを加えていたのがポイントだったと思います。
もちろん、今回も探偵サイドと警察サイドの二つからそれぞれ違う角度で事件に切り込み、最後で一つの解決を成す合併推理も見事でした。
逆に気になる所……ってほどでもないですが、「ユーモアミステリ」で知られた東川さんにしてはやや文章が固めだったかな、と。いや、別に悪いと言ってるわけじゃなく、ほかの作品と比べて「本格に近い」という感じがしたという意味です。
まあ、長編推理小説ですしね。短編連作よりはもっと緻密に語るべき内容が多かっただけだと思います。
それにしてもこのシリーズ。探偵より警察の方が頼りがいがあるように見えるのは気のせいですかry
ま、砂川警部も探偵に負けず劣らず事件解決に貢献しているのも魅力の一つかとw

さて、お次。

【完全犯罪に猫は何匹必要か?/東川篤哉】
シリーズ3冊目。↑の2作目が「拳銃」を中心に扱ったものだとすれば、こちらは「猫」を題材としたお話。
と、ここまで書いて「よし猫好きだから読んでみよう!」と安易に手を出してもいいですが、内容はかなり本格な方なので事件背景がけっこう細かく設定されています。あと450ページと若干長いです。
三毛猫や招き猫好きな人にはオススメします。しかし「猫弁」なんかとはちょっと方向性が違いますのでご注意を。まあ、猫追いかけ回したりはしますけどね!
さて、二作目とは異なり、密室ではなく、等身大招き猫を用いた「アリバイトリック」が軸となっていますかね。
事実を元に死亡推定時刻を割り出した場合、その時間帯には容疑者全員にアリバイがある、というやつです。
それをどう崩すかが見せ所ですが、使われていたトリックは僕の中では斬新に映りました。シンプルではあるけれど、なるほどね、と納得できるような。
あと、事件同士の繋がりや動機なんかも「猫」を主軸に据えて書かれていて、まさに「猫一匹でここまで翻弄されるものなのか……」と思いました。それはある意味「異常」と言っても差し支えないような。
うん、興味ある方は読んでみるよろし。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-29 23:24 | 読書レビュー

【シアター!/有川浩】読了

本日読書レビュー4つめ。

【シアター!】
「図書館戦争」シリーズでお馴染みの有川浩さんの作品。
タイトルの通り、物語の中心はとある小劇団「シアターフラッグ」。演劇に馴染みのない人にでもわかりやすい話を心がけていることでそこそこ人気のある劇団なのだが、経理を誤り負債額300万を抱える危機的状況に。
このままでは劇団を畳むことになってしまう。それだけはなんとか回避したい「シアターフラッグ」主宰の春川巧は、兄の司に金を貸してくれと頼み込んだ。
司はお金を貸す代わりにある条件を付けた。
「2年間でこの300万円を返せ。ただし、劇団の収益のみからとし、それができない場合は劇団を畳め」と。
こうして、経営難のどん底状態にあった「シアターフラッグ」は、あらゆる手段を使って挽回を図るが……!?

簡単にまとめるとこんな話。
これはほんとにリアルでありそうな話ですね。描かれている登場人物一人一人も個性的なのですが、やはり生身の心情描写となると有川さんの独壇場って感じです。
図書館戦争のほうでも思いましたが、なんだろうな~脇役があまりいないって感じに近いかも。ちゃんと一人一人の思いを丁寧に書いていて、その人物にスポットが当たれば、その人物が主役になるみたいな。
もちろん、物語の中心となる人物はしっかり書き分けていますけどね。
さて、僕がこの作品で一番気に入ったのが、司さん。
劇団員に対して遠慮無くズケズケ物言うわ、文句はばっさり切り捨てるわ、千歳を最大限利用することになんの躊躇いもないわでまさに傍若無人、鉄血宰相に相応しいですが、決して彼らを見捨てたりしないどころか、時にはアドバイスしてあげたり、アンケートを書いてあげたり、経理表を作成したりと徹底的にサポートしてあげる姿がかっこいいですw
ブラコン、ツンデレ万歳ですね←
劇団員の方もそんな司を信じて、前にも増して一生懸命演劇に打ち込む姿勢に感動しました。
最後、黒字が出たときの彼らの歓声。きっと心からの叫びだったのでしょうね。羨ましいと同時に眩しくて、少し泣きそうになってしまいました。
全力でやるってそういうことなんだろうと思う。その結果がたとえ失敗に終わったとしても、後悔はなく、きっと次に進めるんだ。
そんなことを感じた一冊でした。うん、有川ワールドのパワーはすごい。
引き続き、続編のほうも読みましょうかね。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-27 23:14 | 読書レビュー

【死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死/野崎まど】読了

本日3つめ読書レビュー。

【死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死】
タイトルに惹かれて生協で買った作品。野崎まどさんと言えば、「パーフェクトフレンド」を読んでファンになったので作者買いでもありますね。
さて、死なない生徒殺人事件。これタイトルからしてすでに矛盾がありますよね?
「永遠の命」を持つ生徒が死ぬわけない。いや、そもそも永遠の命をもった人間など本当にいるのだろうか?と。
物語の舞台は、そんな噂が随分と長いこと息づいている「私立藤凰学院」。
教員五年目にしてそこにやってきた伊藤は、自ら「私が死なない生徒」だと主張する識別組子という女生徒と出会う。しかし証拠を見せろと言ってもはぐらかすだけで、結局はからかっているだけだろうという結論に一度は落ち着く。だがその翌日。

永遠の命を持つはずの識別組子が首を斬られて殺された。

――やはり永遠の命なんてものは存在しないのだ。
そう思いかけたとき、誰あろう、殺されたはずの識別組子が再び現れたのだった。それも別人の体で。
これは一体どういう理屈なのか? 永遠の命の仕組みとはどういうものなのか?
そんな矛盾と謎が渦巻く独創的ミステリ。

というお話で、なかなか面白かったです。メディアワークス文庫は全体的に読みやすいもの多いよね。
識別組子のような論理的キャラと、空気の読めない天名。そして伊藤を取り巻く教師陣。どれもキャラが立っていて、また伊藤の語り口も堅物教師のように見えてこれがなかなか面白く、特に有賀先生関係になると途端に張り切っちゃう所とか笑えたw
この作品のテーマである「永遠の命」の仕組みについてはラストまで読んで大体わかりましたが、現実に実現するにはちょっと無理あるかなーと。でもそれなりの理由が成されていて「ほぉ~」となりました。
なんとなく今季放映されている「ココロコネクト」を思い出したのは内緒←
でもやっぱりそこはミステリ。最後で二転三転する展開は見事でした。すべてが終わったように見えて実はまだ終わっていなかったみたいな。
うん、こういう怪異を含んだミステリもいいものですね。

では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-27 22:38 | 読書レビュー