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【黒猫・アッシャー家の崩壊・モルグ街の殺人・黄金虫/エドガー・アラン・ポー】読了

よ、ようやく読み終わったぜ……。
海外の作品はカタカナの固有名詞を覚えられない上、(訳の関係上だとは思いますが)日本語とはやや異なる表現が多くて今ひとつ場面や心情を掴みづらく、時々挫折しそうになります(ってか今回もなりました)
それでもミステリファンとしては、ポーの作品を読んでおかねばなるまいと固く心に誓ったので、ある意味意地のみで読み切りました。
以下感想。

【黒猫・アッシャー家の崩壊 ポー短編集Ⅰゴシック編/エドガー・アラン・ポー】
表題作含め、全部で6つの短編を収録したもの。
黒猫・アッシャー家の崩壊に関しては、Wikiによるとポーを代表する有名作品みたいですね。まあ、僕の場合は、夢水清志郎シリーズで亜衣がちょこっと話題にしていたので、いつか読んでみたいと漠然と思っていたのですが。
さてさて、全体としては長文が多く、そのほとんどがページぎっしりに渡る地の文のみで、また比喩なども日本人にとっては大変分かりづらく、「会話文どこー?(´・ω・`)」みたいな感じでまじ挫折しかけました……。いや、引用例はたくさん書いてあってすごく博識な方だったんだなーってのは分かったんですが、海外の作品や人名を例に出されてもこっちはわからねぇんだよおおおおおおおおお!!
……はい、すみません。客観的に評価しますね。
まず、「黒猫」。これは短編集の中でも話がわかりやすく、読みやすいものでした。その次の「赤き死の仮面」も含め、路線としてはホラーよりも不条理系ですかね。チャットメンバーを例に出していいものか迷いますが、るっさまの作品と似たような感じ(ってことはつまり、日本の作家さんで言うと甲田学人さん寄り?)
徐々に滲み出る恐怖あるいは狂気、怪しげな仮面舞踏会、結末はデッドエンドと、割と共通点があるかと思います。
そのほかに気に入ったのは「落とし穴と振り子」。
こちらは主人公が監獄に閉じ込められ、色々な責め苦にあうという、なんか某女王陛下が好みそうな話。それでいて脱出ゲームってほどではないにしろ、迫り来る恐怖の傍らあれこれ頭を働かせる所がよかったですかねー。

【モルグ街の殺人・黄金虫 ポー短編集Ⅱミステリ編/エドガー・アラン・ポー】
ゴシック編に続き、こちらはミステリを集めた作品群。そして僕が一番読みたかったもの。
そう! 表題作の「モルグ街の殺人」は史上初の推理小説と言われている短編であり、その作中に登場するオーギュスト・デュパンこそが後のあらゆる名探偵の祖なのですから!
冒頭は、いかにも読者を「洞察力・分析力が必要な世界へ案内しましょう」といった感じで、分析力がいかに大事かということを長々と書いています(長文苦手な僕でもここだけは真剣に読みました←)
そして史上初の探偵、オーギュスト・デュパン登場。そして早々その卓越した洞察力から導き出される推理を披露してくれます。……が、かなりしゃべる量が多すぎやしないか…?とは思いました。
だって、丸々3~4ページに渡って「」が途切れることなく続いているんだもの。個人的にはもうちょい情報削ってすっきりまとめてくれた方が読みやすかった。まあ、ポーの作品は得てして一文一文が長くなる傾向があるみたいですけど。
でもまあ、これは確かに”ミステリ作品”でした。解決編は少し意外でしたが、ここから推理小説と呼ばれるジャンルが急速に広がっていったと思うと胸が熱いですね。
一方、「黄金虫」は初の暗号解読小説です。「アラカルト」最新話でもちょこっと触れています、ってかあの解読法こそ、この作品で使われていたものとまったく同じです。すなわち、「頻度分析」という暗号解読法によってキャプテンキッドが残した財宝を探し当てています。
そのほか「盗まれた手紙」も、大臣の心理的側面から手紙の隠し場所を発見するなど、なかなか興味深かったです。

しかし、やはり僕は日本人。
日本の作品が恋しくなったので、おとなしく戻ることにします。
では、ろりこん!

by broken-range | 2012-07-31 12:34 | 読書レビュー