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【鍵のかかった部屋/貴志祐介】【猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数/北山猛邦】読了

がんがん読むぜー。読書レビュー三日目。

・【鍵のかかった部屋/貴志祐介】
ドラマの表題作ともなっている、防犯探偵榎本シリーズ第三作。
少し特殊な状況下を作り出していた二作目とは異なり、今回は「鍵がかかっている」類の密室ですね。まあ、ドラマで放映されたように、死体が白幕とガラステーブルの間にあったり、部屋中に目張りがしてあったりとかなり工夫が凝らされてますが。
これもまた全部で四つの短編が収録されてますが、すでにドラマで放映されたものは除くとして、個人的に「歪んだ箱」という作品が面白かったです。
ほかの推理小説でも度々見かけますが、これは犯人視点で描かれているもので、自分のトリックが榎本によって少しずつ解き明かされていく過程をひやひやしながら見守っています。「自信満々だと思っていたのに、この男はどうしてそんな細かい所まで気付くんだ……!」的な焦り、プレッシャーを抱える犯人の心理から描かれるのって面白いよね。加賀恭一郎のじわじわくる質問攻めもそうだけど。
あと、純子(女弁護士ね)がだんだん残念な子になっていくのが笑えるw
思いつきで(本当に)突拍子もない推理を口にするので、結果的に榎本とボケ、ツッコミの漫才をやっているような感覚で読めます。一作目がかなり長編で堅かったのに対して、二作目、三作目は短編かつ会話のやり取りもコメディ風になっているので、初心者にもとっかかりやすいかと。
まあ、ドラマの出来がいいので、そちらを先に全部観るのもありだと思います。


・【猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数/北山猛邦】
日本で唯一”探偵助手”としてのスキルが学べる大学に入学した、君橋と月々。
二年生になり、ゼミを決めなければならないのだが、彼らは悪ふざけで希望した知名度ゼロの猫柳ゼミ行きが決まった。肝心の猫柳は、25歳とまだ若く、見た目も行動もかなり頼りなさげで、本当に名探偵号を持っているのか疑わしい。
彼女の指導の下では、立派な探偵助手にはなれないのかも……と悲観する中、合同研修で訪れた孤島で殺人事件が起きて……。
というのが大まかなストーリー。孤島での連続殺人はミステリでは定番ですが、死体の状況がかなり特殊だったり、容疑者全員にアリバイがあったりと不可解な状況が作り出されています。
猫柳は、「被害者が出る前に犯罪を阻止する」ことを自らに課していて、実際に3人の人間を狙った殺人を未遂で終わらせています。
とは言え、死体を目前にして泣いたり弱気になってしまう部分も多く、”堂々とした探偵”像からは遠い人物です。なんとなくわかっていながら、最後まで謎解きしない所も、焦らされるのが嫌な人にとっては、もどかしさを感じるかもしれません。
ですが、最後まで読んでみることを強くオススメします。
そうすれば、なぜ猫柳の知名度がゼロなのか、なぜ彼女が名探偵なのか、という説明にはっとさせられると思います。うん、ある意味探偵とはこうあるべきなのかもしれない。


さて、この後は、猫弁→プリズントリック→SPECシリーズ→Another の順で読んでいこうかな。
では、ろりこん!

by broken-range | 2012-05-04 23:19 | 読書レビュー