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「浜村渚の計算ノート」読了

まず最初に。
本日、ブログ訪問者2万人を越えました!
いつも来てくださっているみなさん、ありがとうございます!
座談会は明後日のブログ開設二周年と同時に公開するつもりなので、お楽しみに。


さて、青柳碧人さんの「浜村渚の計算ノート」読み終えました。

設定としては、”理系科目の履修価値の低下(ex. 義務教育課程における時間割のうち、数学の授業が一週間にたった一コマしかない)を受け、天才数学者が数学の地位向上のために始めたテロ活動を、天才数学少女――浜村渚(女子中学生)が阻止する”お話。
設定としては面白いですが、割と背景説明がざっくりなため、「図書館戦争」シリーズのような”本当にありそう”と思わせるようなリアリティは薄いかなー、と感じました。
ですが、理系の人間にとっては、本を開いて目次を眺めた瞬間からニヤリとしてしまうこと間違いなしです。
この本は四つの章と、それぞれ五つの小節から成っていますが、それがこんな感じになってます。

log10. 『塗り絵をやめさせる』
 √1 数学少女登場
 √4 被害者たちの共通点
 √9 避難勧告と謎の人物
 ……

log1000. 『ちごうた計算』
 1 フィボナッチ迷子
 1 事件
 2 予期せぬ殺人
 3 疑惑
 5 ちごうた計算

数学を扱った本では珍しくはないですが、それでもやっぱりテンション上がってしまいます。
さて、では数学のどんなお題がテーマになっているかというと、

第一章→四色問題
第二章→「0」の概念
第三章→フィボナッチ数列
第四章→円周率π

これらが数学テロや殺人事件などに結びついて登場します。
「数学ガール」と比べると物語性を重視しているため、それほど深い本質には触れませんが、それが逆に数学苦手な人でも楽しめるようになってます。なにより凄いのが、上記四つの数学的な本質部分が犯人逮捕へと繋がる重要な落ちになっていること。
軽い気持ちで読み進めていっても、各章のラストで思わずハッとさせられる台詞が多いです。

「0で割っちゃ、ダメです」
「誰一人切り捨てないでください。切り捨てたら、そこで円周率は途切れてしまいます」
「数は、支配するものじゃなくて、探るものじゃないですかね?」

などなど。もちろん、これらの台詞にどれほどの重みがあるかは実際にこの本を読まないとわからないでしょうけど。
しかし、”天才数学少女”が登場する作品にも色々ありますよね~。
この本みたいに”その能力を最大限に活かして事件を解決する話”。
そして「パーフェクトフレンド」みたいに、”もう学習する必要がないから学校に行かない=友達がいないという話”。
そしてもちろん、イジメ問題みたいなものを扱った作品もあるでしょう。
作者が何を書きたいかによって、様々なバリエーションが生まれる――そんなテーマのような気がしました。

では、ろりこん!

by broken-range | 2011-10-13 20:35 | 読書レビュー